【2019年12月13日】第88回研究会「<加工における振動問題を科学する>摩擦の物理と技術応用」―静から動への遷移プロセスとシステムの安定性―
工作機械において、切削面や案内面のなめらかなすべり出しの実現やスティック・スリップの防止は
加工精度 を保証するための重要な技術課題である。そこで今回の研究会では、静止摩擦から動摩擦への
遷移プロセスとシ ステムの安定性をテーマとし、トライボロジー分野で進められている最先端の研究
について理解を深めることを 意図した。まず実験的研究として、すべり出しの瞬間を可視化し、
遷移プロセスの時間分解能を高めた計測から、 接触面内を音速で伝播する波の重要性について論じる。
次に理論的研究として、システムダイナミクスの観点か ら、システムの非対称構造が誘導する摩擦力
ベクトルの回転運動の重要性について考察を加える。さらには、シ ステムの非対称構造を適切に
導入すると、擬似的に生み出される粘性減衰作用がシステムを安定化して、スティ ック・スリップ
を抑制できることが示されているので、それをスピーカーやシールに適用した技術応用について
紹介する。
主 催:公益社団法人砥粒加工学会 次世代固定砥粒加工プロセス専門委員会