会長就任のご挨拶
公益社団法⼈砥粒加⼯学会 会長
岡山大学 教授
大橋 一仁
元気になる楽しく活力ある学会へ!
去る3月6日に開催されました2025年度通常総会におきまして学会長を拝命いたしました岡山大学の大橋でございます.就任にあたりまして,一言ご挨拶申し上げます.
砥粒加工学会は,1957年10月に発足した関西砥粒加工研究会と同年11月に関東を中心に発足した砥粒加工研究会が,1986年に砥粒加工学会として一つになり,1995年には社団法人,さらに2010年には公益社団法人となり現在に至っております.発足からこれまで,多くの先人の先生方と諸先輩の皆様の熱意と多大なご尽力が本会に注がれてきたことを改めて思いますと,会長のバトンを引き継ぎたいへん身の引き締まる想いでおります.また折しも,今年が法人化30周年の年であり,自身の使命を感じる次第です.
これまで,歴代の会長の采配を拝見しつつ,微力ながら本会の運営に協力させていただきました.特に,前々会長の池野先生は,コロナ禍にもありながら,オンライン中心の学会活動に迅速に対応され,会員相互の繋がりを強化されました.また,清水前会長は,産業界との繋がりを強化され,賛助会員の増強に大きく貢献されました.その後を引き継ぐことは,正直申しましてかなりプレッシャーを感じておりますが,幸いにも経験豊富な副会長をはじめ、将来、本会をリードいただけるであろう優れた方々に理事会のメンバーに加わっていただいておりますので,自分と理事各位の持ち味を引き出し調和させて運営を推進して参りたいと思います.
さて,第4次産業革命の言葉を聞いてからしばらく経ちましたが,昨今では新たな技術領域や学際領域が出現し,またそれらが従来のものと融合もし,ものづくりに関わる技術や学術領域が拡大し複雑化してまいりました.しかし,いつの時代であっても砥粒加工をはじめとするものづくり技術は,文明の進化に不可欠であり,さらに高度化を求められ続けることには間違いありません.そんな中にあって砥粒加工学会は,学会の中も会員相互もほぼ見渡すことができる程よいサイズ感と,砥粒加工に関わる内容にフォーカスされた中身の濃さを兼ね備えた学会と思っております.このことによる本会ならではのよい雰囲気も大事にして参ります.
話は戻りますが,コロナ禍では人同士のコミュニケーションがスクリーン越しとなり,何となく意思疎通ができていそうで十分ではない状態がしばらく続きました.その後,学会行事等で再び顔を合わせてディスカッションできるようになり,改めて人と人とのつながりを認識されたのではないでしょうか.技術を考えるのも人,その考えを議論するのも人,技術を作るのも人,その技術を使うのも人,そして技術によりつくられたモノを使うのも人で,人あっての技術と感じております.砥粒加工学会で産学相まって技術者・研究者がさらに活発に楽しく交流することで元気になる活力ある学会を目指して参ります.
私事で恐縮ですが,学部4年生の研究室配属で,念願叶って研削加工研究の大家のお一人であった中島利勝先生の研究室に配属されたのが砥粒加工との出会いでした.以来,修士課程修了後に企業経験を9ヶ月間しましたが,その後,不思議にも縁あって研削加工を中心とした砥粒加工の教育研究をこれまで続けております.思えば,幼少の頃に家に工作機械はなかったものの,祖父が畳表の自動織機や大型の精米機を使ってるのを見たり触れたりしました.
「百聞は一見に如かず」と申しますが,「百見は一験に如かず」と常々思っております.願わくは,砥粒加工に関係する多くの皆さまに本会を体験いただくことで,敷居の一歩中に入って頂き,さらに会員の皆さまとともに,砥粒加工の奥座敷にご案内したいと思います.
これから理事会一同,砥粒加工学会ひいては砥粒加工に関わる分野を盛り上げて参ります.引き続き,会員の皆様のご理解とご協力をよろしく賜りますようお願い申し上げます.