会長就任のご挨拶
公益社団法⼈砥粒加⼯学会 会長
牧野フライス精機株式会社 取締役社長
清水 大介
リアルの復活で学会の活性化を!
3月9日開催の2023年度通常総会におきまして学会長を拝命いたしました牧野フライス精機の清水でございます。2023-2024年度の2年間、新理事メンバー共々何卒よろしくお願い致します。
就任挨拶に先立ちまして、コロナ禍における難しい学会運営を担われた池野前会長、向井元会長はじめ役員の皆様に感謝申し上げます。様々な制約下、学会含めた多くの団体が機能停止に陥る中、当学会は学術講演会等のオンライン実施や、フェロー塾・シニア会の設置、各種規約の見直し・整備など、可能な範囲で最大限活動出来たと思います。また、学会員の皆様におかれましても制約下の学会活動にご理解とご協力を賜り厚く御礼申し上げます。
さて、そのコロナ禍も漸く収束に向かいほぼ全ての制約が撤廃されるに伴い、学会活動も積極的にリアルを復活させてまいります。コロナ禍でオンライン化が一気に進みましたが、オンラインは一方通行のコミュニケーションになりがちです。学会は研究者の研究成果の発表・議論・意見交換の場であり、また研究者同士の交流を通じて研究を深め合っていくという本来の存在意義に立ち返った時、リアルでの双方向コミュニケーションが必要不可欠と考えます。池野前会長が掲げてくださった活動コンセプト「3C(Compact:Cozy:Connected)」をリアルでの活動を促進することにより、さらに発展させていきましょう。
当学会が直面している「会員数の拡大」「投稿論文の増加」という2大課題にも引き続き取り組んでまいります。
まず、「砥粒加工ならびに当学会の認知度向上」に努めてまいります。日本の砥粒加工技術は世界を牽引するレベルであり、その理論的礎は砥粒加工技術を中心とした専門性の高い当学会が60有余年にわたり築いてきたと言っても過言ではありません。しかしながら、その専門性ゆえに砥粒加工の重要性が広く認知されているかと言えば疑問が残ります。砥粒加工の重要性を正しく認識してもらい、当学会分野に興味を持つ研究者を増やすことが必要です。特に近年の加工要求の高度化に伴い、超精密加工を可能にする砥粒加工の重要性が高まる中、砥粒加工の認知度向上に果たす学会の役割は大きいと思います。
また、「賛助会員会の活性化と会員数拡大」にも力を入れていきます。前述の加工の高度化には、砥粒加工技術のみならず、工具技術・加工機械・計測技術なども「ものづくり総合力」として必要とされます。賛助会員の輪を関連技術分野へと広げることが重要です。また、砥粒加工をおこなっている企業も巻き込んでいくことが大切です。現場で起きている現象を素として学会員の研究対象とし、その研究結果が成果として現場に還っていく、プラスの循環を促進していきます。当学会の特徴の一つである産業界との強い結びつきを、賛助会員会のみならず学会全体の活性化に生かしたいと思っています。
最後に、私は大手ベアリングメーカーで精密ベアリングの生産計画を担当し、円筒研削盤や内面研削盤の傍らで仕事をした後、2008年より工具研削盤メーカーの社長として砥粒加工に関わってまいりました。以来、我が社の工具研削盤のあるべきコンセプトを示すために、国内外の研削盤を広く勉強してきました
私の社会人人生には常に砥粒加工がありました。そして、今後も携わり続ける分野の学会長を仰せつかり、想像もしていなかった大役ではございますが、お引き受けしたからには全力で職務を全うしてまいります。当学会発展に向けた会員の皆様のご理解とご協力を賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。